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「これまで、ほとんど紹介で仕事をしてきました」そう話す経営者の方は、少なくありません。
ただ、紹介で仕事が続いてきたことと、紹介によって会社を成長させてきたことは、少し違うと思います。お客様に満足していただき、もう一度依頼していただく。その仕事や対応を評価した方から、さらに別のお客様を紹介していただく。
その積み重ねによって会社を成長させてきたのであれば、それは決して簡単なことではありません。
技術力や商品力だけでなく、安心して任せられること、約束を守ること、相手を困らせないこと。そうした仕事を続けてきたからこそ、リピートが生まれ、その先に紹介が続いてきたのだと思います。
だから私たちは、紹介で成長してきた会社には、すでにお客様から評価されてきた価値があると考えています。
一方で、新しい市場への挑戦や新規顧客の獲得、採用の強化や新しいサービス展開など、会社の次の成長を考え始めると、これまでとは異なる相手や場面に、自社の価値を伝える必要が出てくることがあります。
紹介でつながった相手には、紹介者が会社の信用や良さをある程度伝えてくれています。
しかし、初めて自社を知る相手には、その前提がありません。
広告やSEO、営業強化など、新しい相手に知ってもらうための接点づくりも大切ですが、その前に、自社の価値や他社との違い、提供メリットが伝わる状態になっているかは、一度確認しておきたいところです。なぜなら、もし、その土台が抜け落ちたまま接点だけを増やしても、施策の効果を十分に生かせないことがあるからです。
この記事では、紹介を中心に成長してきた会社と向き合う中で私たちが感じてきたことをもとに、今だからこそ準備できることについて考えます。
「これまで、ほとんど紹介で仕事をしてきました。営業したことはありません。」
そう話される会社に伺うと、技術力や実績の高さに目が向きがちです。もちろん、それも大切です。
ただ、私たちが実際に見てきた会社を振り返ると、紹介が続く理由は、それだけではないように感じます。共通しているのは、お客様を困らせないこと、関係性を変える必要性を感じさせないこと。
「依頼された仕事をきちんとやり切る」「約束した期限を守る」「問題が起きたときに逃げない」
「相手の事情を理解し、必要な対応をする」言葉にすると、どれも当たり前のことに感じます。
一度依頼されたとしても、満足してもらえなければリピートは生まれません。そして、もう一度頼みたいと思われない会社を、自分の大切な取引先や知人に紹介することも難しいはずです。
しかし、その当たり前を継続し、「この会社なら安心して任せられる」と思ってもらうことは、決して簡単ではありません。
つまり、紹介が続いている会社には、その前にリピートがあります。
リピートがあるということは、商品や技術だけでなく、対応や関係性も含めて、お客様に価値を感じてもらえているということです。だから、紹介で成長してきた会社には、すでに選ばれてきた理由があるのです。
ただし、その理由を会社自身が明確に説明できるとは限りません。
長く取引しているお客様にとっては分かっていることでも、社内では「やって当然のこと」と捉えられている場合があります。
実際に強みを聞いてみても、「品質だと思います」「対応力ではないでしょうか」「結局は、人じゃないですか」と、社長、営業、現場で答えが異なることも珍しくありません。
どの答えも間違っているわけではありません。
ただ、お客様が何を評価し、なぜ繰り返し依頼し、なぜ他の人へ紹介してくれているのかを、会社として改めて考える機会がなかったのだと思います。紹介で仕事が続いている間は、それでも困りません。
お客様や紹介者が、会社の良さをすでに理解してくれているからです。
紹介でつながる相手は、何も知らない状態から話を聞くわけではありません。
紹介者から、「あの会社なら大丈夫です」
「この分野に強い会社です」
「安心して任せられます」といった情報を受け取った状態で、話が始まります。
場合によっては、比較もかなり進んでいて、あとは条件や進め方をすり合わせればよい段階から始まることもあります。
つまり紹介では、自社が説明する前に、紹介者が信用や価値の一部を伝えてくれています。
紹介で仕事をしてきた会社ほど、「なぜ自社が選ばれているのか」
「他社との違いは何か」
「初めて知る人に、どう説明すれば伝わるのか」を、改めて考える必要がなかったのかもしれません。
何を提供しているかは分かっている。
自社がきちんと仕事をしていることも分かっている。
お客様に何を説明すればよいかも、現場では分かっている。
難しいのは、それをどう説明すれば、初めて自社を知る相手にも伝わるのかです。
新しい市場へ挑戦するとき。
新しいサービスや製品を展開するとき。
営業担当を増やすとき。
採用や展示会に力を入れるとき。
Webサイトや広告を通じて、これまで接点のなかった相手に知ってもらうとき。
こうした場面では、紹介者や既存のお客様との関係に頼らず、自社自身が価値を伝える必要があります。社内では当たり前になっている対応も、お客様にとっては大きな安心につながっていることがあります。
問題が起きたときに放置しない。
依頼されたことを確実に進める。
相手の事情を理解して柔軟に対応する。既存のお客様は、取引を通じてこうした価値を知っていますが、初めて自社を知る相手は、その経験を持っていません。
何を頼める会社なのか。
自分にどんなメリットがあるのか。
他社と何が違うのか。
安心して任せられるのか。そこまで伝えるのは、商品やサービスの情報を並べるだけでは難しいものです。
相手は、自社について詳しく調べてくれるとは限りません。こちらも、相手が何を知りたいのかを最初からすべて分かっているわけではありません。
だからこそ、初めて自社を知る相手とのコミュニケーションを支える、会社としての土台が必要になります。
ここで言う土台は、会社として、誰に、どんなメリットを提供できるのか。
その共通認識を、会社の中に持っておくということです。
私たちはご相談いただく方へ、「御社の強みは何ですか?」と質問することがあります。
すると、社長は「品質ですね」
営業は「対応力です」
現場は「人だと思います」
というように、それぞれ違う答えが返ってくることがあります。
もちろんどれも間違いではなく、本心だと思います。
長く仕事をしてきた会社でも、会社として誰にどんなメリットを提供できるのかが、共通認識になっていないことは珍しくありません。
紹介で仕事が続いている間は、それでも大きな問題にならないかもしれません。
紹介者が会社のことを理解し、お客様へ説明してくれるからです。また、営業担当者も、それぞれの経験をもとに相手に合わせて説明しています。
実際、自社を売り込みたい方々は日々、「この相手には、どの話が響くのか」
「何を先に説明すれば理解してもらえるのか」を考えています。
ただ、その知見が個人の中だけにとどまると、担当者が変わるたびに、また一から考えることになります。
もちろん、会社の考え方はいろいろあります。
実際に、「商品が良ければ、それで十分じゃないですか」
「営業なんだから、それぞれが自分で売ればいい」
「全員が成果を出せるようになれば、共通の仕組みなんて必要ない」とおっしゃる方もいらっしゃいますし、確かに、それもごもっともな意見だと思います。
全員が高い成果を出せる人材であれば、非常に強い会社になるでしょう。営業同士を競わせ、それぞれの個性や経験を生かすことが、組織に合っている会社もあります。
私たちは、それを否定したいわけではありません。
一方で、会社として、組織として事業を広げていくのであれば、担当者ごとの力だけに頼らず、誰が伝えても大きくぶれない共通認識があった方が進みやすくなります。
それは、全員に同じ話し方を求めるためではありません。
「私たちは、誰に、どんなメリットを提供でき、他社とどんな違いがある会社なのか」
この認識を共有しておくことで、それぞれが自分の言葉で話しても、会社として伝わる価値は揃いやすくなります。
会社として共通して伝える土台は、個人の力を弱めるものではありません。
個人が持っている経験や工夫を、会社の力として積み上げやすくするためのものです。
会社として、「誰に、どんなメリットを提供できるのか」
「なぜお客様から繰り返し依頼されているのか」
「他社ではなく、自社に相談する意味は何か」が見えてくると、その内容は一つの制作物だけで終わりません。
実際にWebサイトの制作を進める中で営業の方から話を聞くと、普段の商談では当たり前に説明していることが、サイトには一度も書かれていないことが見つかる場合があります。
反対に、Webサイトのために会社の価値や実績を整理したことで、「この説明は営業資料にも使えそうですね」
「会社案内にも入れた方がいいですね」という話になることもあります。
Webサイト、営業資料、会社案内は、それぞれ使われる場面も役割も異なります。
同じ文章を、そのまま流用すればよいわけではありません。
ただ、「誰に価値を提供できるのか」「相手にどんなメリットがあるのか」「なぜ繰り返し依頼されてきたのか」「他社ではなく自社に相談する意味はどこにあるのか」という会社としての前提は、どの接点でも共通して使えます。
新しいサービスを始めるときも同じです。
営業資料を作る。
展示会へ出展する。
広告を出す。
Webサイトに新しいページを設ける。
どの施策を選ぶとしても、会社として共通して伝える土台があれば、それを相手や場面に合わせて必要な形へ変えていくことができます。
採用では、顧客に向けた説明をそのまま使うわけにはいきません。
それでも、「自分たちは、誰のために、どんな仕事をしている会社なのか」が社内で共有されていれば、求職者に何を伝えるべきかも考えやすくなります。
私たちは、Webサイト、会社案内、営業資料を別々にご相談いただくことがあります。
しかし、実際に中身を見ていくと、Webサイトでは品質を強みとしているのに、営業資料ではスピードを押し出し、商談では担当者の対応力を評価されている、といったこともあります。
これは会社が成長する中で、必要に応じて制作物を増やし、その時々の担当者が伝える内容を考えてきた結果だと思います。
ただ、外から見たときに、それぞれが別の会社の話に見えてしまうと、せっかく積み重ねてきた価値が一つにつながりません。
だから私たちは、制作物だけを見るのではなく、その前にある会社や事業の話を聞きます。
何を作るかを決める前に、「これから誰に伝えたいのか」
「その相手にとって、どんなメリットがあるのか」
「これまでのお客様は、何を評価してきたのか」を確認します。
この整理は、少し時間がかかります。
経営者だけで決められることばかりでもありません。営業や現場の話を聞いて、初めて分かることもあります。だから、面倒に感じる方がいるのも自然だと思います。
それでも、ここで使った時間は、一つの制作物を完成させるためだけの時間ではありません。
後からWebサイトを見直すことになっても、営業資料を作ることになっても、採用を強化することになっても、いかなる顧客接点を増やすことになっても、共通して使えます。
会社の価値が伝わる状態が整っていれば、接点を増やすそれぞれの施策がより生かしやすくなります。
この整理に使った時間は、あとから何度も回収できます。
だから私たちは、会社として共通して伝える土台をつくることは、特定の施策への投資ではなく、会社そのものへの投資だと考えています。
これまでお話ししてきたように、紹介で成長してきた会社には、すでに大切なものがあります。
これは、広告を出せばすぐにつくれるものでも、言葉を整えれば急に生まれるものでもありません。
長い時間をかけて、仕事の中で積み重ねてきた会社の価値です。
今後も紹介や既存のお客様を中心に十分成長できるのであれば、無理に新しいことを始める必要はないと思いますし、親会社や既存取引先から継続して仕事があり、紹介だけで手一杯という会社もあります。そうした会社に、無理に別の施策を勧める理由はありません。
一方で、新しい市場へ進みたい。
新しいサービスを育てたい。
営業担当を増やしたい。
採用を強化したい。
紹介以外でも、新しい顧客との接点を増やしたい。
そう考え始めたときには、紹介者が担ってくれていた信用や説明を、自社の言葉と接点でも伝えられるようにしておく必要があります。ただ、これは今日考えて、明日には完成するものではありません。
社長が考えていること。
営業が現場で感じていること。
お客様から実際に評価されていること。
現場では当たり前になっていること。それらを集めてみると、同じ会社の中でも、見えているものが少しずつ違います。
そこから、会社として誰にどんなメリットを提供できるのかを考え、初めて知る相手にも伝わる言葉や形にしていく。この作業には、それなりの時間がかかります。
だからこそ、いきなり、何か大きな施策を始める直前ではなく、次の成長を考え始めた今から、少しずつ準備しておく意味があります。
広告を出すかどうか。
SEOに取り組むかどうか。
Webサイトを見直すかどうか。
営業資料や会社案内を作るかどうか。その判断は、会社の状況に合わせて行えばよいと思います。
ただ、会社として誰にどんな価値を届けるのかを考えた時間は、どの施策を選んでも使い続けられます。紹介で成長してきた会社は、ゼロから価値をつくる必要はありません。
なぜなら、すでにお客様から評価され、積み重ねてきたものがあるからです。
必要なのは、それを紹介者や既存のお客様だけが知っている状態から、初めて自社を知る人にも伝えられる状態へ少しずつ広げていくことです。
私たちは、会社がこれまで積み重ねてきた価値を伺い、会社として誰にどんなメリットを提供できるのかを整理したうえで、Webサイトや営業資料、会社案内などの顧客接点へ実装しています。
すべての会社に、この取り組みが必要だとは考えていません。
ただ、次の成長を考え始めたものの、何から準備すればよいか迷っているのであれば、今の会社にすでにあるものから、一緒に確認していくことはできますので、お気軽にご相談ください。
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